スパについて
トラディショナル・スパとモダン・スパ
スパ(spa)には語源学的に大別すると、3つの意味があります。
1つ目は「温泉、温泉地」、2つ目は「温泉、鉱泉を利用した治療を提供する保養施設」、そして3つ目が現在メディアをにぎわしているスパ・ムーブメントです。「スパとは何か」という質問は、現在のスパ・ムーブメントに対するものです。そして私たち:JSPAがテーマとするのも今日のスパ・ムーブメントです
ここでは。話を明確するために、1つ目、2つ目のスパをトラディショナルスパ(traditional Spa)として区別します。
このスパ・ムーブメント(modern Spa)はわずか15年前(1991年)に米国でスタートしたばかりです。当時の米国において様々な要因が絡み合い、国際スパ協会(ISPA)の設立を機に、今日のスパが誕生したのです。もちろんモダンスパは、ローマンバスに代表される西欧の伝統的なスパの文化を継承しています。米国においても温泉・鉱泉等を利用した水治療を提供する施設を西欧風に「クア」と呼び、多くの人親しまれていました。しかしながら、西欧のクアハウス、テルメに代表される温泉文化、水治療の文化と現代のスパとを比較すると根幹を成す概念が異なるように思えます。
米国でスパが生まれた背景。
なぜ20世紀末の米国においてあらたなスパが生まれたのでしょうか。その歴史的な背景を簡単に紹介します。
18世紀から19世紀末にかけて西欧から様々な自然医学(アロパシー医学=現代西洋医学に対抗する全人的な治療を主とする医学)が新天地アメリカを目指して渡ってきました。オステオパシー、カイロプラクティック、ナチチュロパシーなどこれらの新興医学に共通したことは、アロパシー医学に疑問を持ち、「薬物に頼らない」、「患者の症状(部分)だけでなくその全てを観察する」、「人には本来、自らを癒す力=自然治癒力がある」ことを重要視したことです。
60年、70年代にはカウンターカルチャー運動が様々な分野で広がり、その当時主流であった文化の流れに対抗する「非西洋、非キリスト教の文化・価値観」、「自然回帰」の流れが全米に広がりました。医療、健康の分野でも「非西洋、非近代西洋医学」等への関心や健康・自然指向が高まりました。その後、老齢化問題、それにともなう医療費の増大、ストレス過多の生活は現代西洋医学以外への療法への関心は一層高まり広く認知され、米国政府の政策と補填のある代替医療、補完医療が重視されました。「身体と精神を分離しないで、調和的な平衡が保たれている状態を健康とする考え方」、「自然回帰への意識」は広がり、人々の価値観、ライフスタイルまでもが変化していったのです。米国で誕生したスパ・ムーブメントの根幹はこのホリスティックな(全人的な)健康観であるといえます。
このように「スパ誕生」以前に、人々の価値観そして医療、健康、美容をテーマにする様々な業界ですでに「スパ化」現象が進行していたといえます。ISPAの功績のひとつは、広く静かに潜行するこの現象をSpaという概念で明確にID化したこと、そして、それにより様々な業界で「スパ化」という再構築を活発化させたことです。 |